2018年10月21日日曜日

パーソナリティ障害はまだ・・・ 16


もう一本、ネットで公開になっている論文を読んでみる。Hrdlicka, M and Dudova, I. (2013) Controversies in autism: is a broader model of social disorders needed? Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health. 7:9
これを読むと、自閉症スペクトラム=生まれつき、よくならないもの、という常識を多少なりとも変更する必要があることを知らされる。自閉症からの回復 recovery だって不可能ではないというのだ。
そもそもこのようなことを記載したのはラター本人(1970)で、1.5%の患者さんはフォローアップ時に自閉症の定義を満たさなくなっていたという。この数ではあまり説得力はないが、その後様々な尺度が開発されて、それと平行して回復」率は上がっていき、数%、あるいは10%を超える報告が出てくる。もちろんこれには認知行動療法などの治療法の発展も貢献している。そして最も新しい(といってもこの論文が書かれた当時だが) Fountain らFountain C, Winter AS, Bearman PS: Six developmental trajectories characterize children with autism. Pediatrics. 2012, 129: e1112-e1120. 10.1542/peds.2011-1601.6975人の自閉症の患者についてフォローアップをし、6つの分類を行った。10%の子供が重症な自閉症から高度の機能を獲得するまでに回復したという。
しかしこの論文を読んでいても、どうもスキゾイドの話があまり出てこない。別に自閉症のことを調べているのではなかった。
そこでPsycNet という検索サイトを使って schizoid personality と入れてみて、意外なことが分かった。ほとんどこのテーマについての論文が最近は書かれていない。スキゾイドPDの概念はもうオワわってしまったかのようである。やっぱりね・・・。