2018年9月22日土曜日

解離性障害とは? 双極性障害って何?


あるところにこんなことを書いた。

1 解離性障害とは?
解離性障害とは、昔からヒステリーと呼ばれていたものを正式な病気としてとらえ直したものです。解離(乖離)とは心や体の一部が本体部分から離れてしまっていることを意味します。解離性障害は大きく分けて心の症状を起こすものと、体の症状を起こすものとに分けられます。心の症状としては、一定の時間内に起きたことを思い出せない、あるいは別の人格に入れ替わってしまう、等の症状があります。また体の症状は「転換性障害」と呼ばれ、突然体の機能や感覚が止まってしまったり、勝手に動き出したりするという症状が起きます。
解離性障害の中で最も典型的であり、かつ不思議な症状を示すのが、かつて「多重人格」と呼ばれていた「解離性同一性障害」です。患者さんはいくつかの心の存在を体験し、時には別の心により体を支配されてしまい、その間後ろから見ていたり、その時のことを覚えていないということなどが起きます。このような現象は比較的急に、多くは何らかのきっかけで生じ、人格のスイッチングと呼ばれています。
解離性同一性障害を持つ方の多くは、幼少時に深刻なトラウマやストレスを体験しています。その体験に耐えられない時に、他の人格が突然出現してもとの人格に代わってその場の対処をする、ということが繰り返されて人格の数が増えていきます。ただしどうしてそのようなことが可能なのかは医学的にもほとんど分かっていません。しかし心にいくつかの人格がいてそれらの間の会話が聞こえる、というだけの経験を持つ方は案外少なくないようです。解離性障害は病気というよりは、その人の心の特殊な能力と考えることもできるでしょう。それぞれの人格は全く異なった性格を持ち、また特技や才能を持つこともあります。ただしいわゆる黒幕的な人格が攻撃性や自傷傾向を有する場合には、適切な治療が必要とされます。

2 双極性障害ってなに?

双極性障害とは、一般には「躁うつ病」、という呼び方をされている精神科の病気です。よく似た病気に「うつ病」がありますが、これとは類似はしていても別の病気と考えられています。人間の脳の活動には波があり、活動が高まる時と低まる時があります。もちろん日常生活で嫌なことがあったり、うれしいことがあったりすると、気分が落ち込んだり、逆に舞い上がったり、ということは自然に起きます。しかし時には理由もなく気持ちが沈んだり、逆になぜかウキウキしておしゃべりになり、今日は「どうしたの?」と友達に言われたりすることもあります。その気分の調子の波は、季節や天気に関係していたり、女性の場合には生理の周期に関係していたりします。ところが双極性障害では、その波が極端で、深刻な鬱や突き抜けたような躁状態(気分が高い状態)が何日も続くことになります。特に躁状態では睡眠を必要とせず、声がかれるまで話し続けたり、気が大きくなって無謀な計画を立てたり散財をしたりするのが特徴です。しかししばらくすると、今度は深い鬱状態になり、何日もベッドから起き上がれなくなったりします。
双極性障害は20代から発症することが多く、かなり遺伝する傾向があります。最初は鬱状態から始まった場合には、躁状態があるまでは双極性とわからないこともあり、治療が遅れることもあります。しかし双極性の人の中には非常に才能にあふれていている方々がいらっしゃいます。かつての文豪や芸術家にも双極性障害を持っていた人々が数多く知られています。双極性障害の治療には薬物が用いられ、気分の波をかなり抑えられる場合もあります。その場合はその患者さんは社会生活を営み、生産的な人生を送っています。ただし長い鬱期を抜けられずに、薬もあまり効かず、満足な生活を送れなくなってしまう人もいて、その意味で深刻な精神科疾患といえます。