2018年9月18日火曜日

ある対談 1


OKこれまでは「現代における解離の治療とは?」とかいう漠然としたテーマばっかりなので、好きなことをみんなが話しっぱなしで終わっていたのですが、今回ちょっとチャレンジングなテーマを選んでみました。それは「統合ってどうなんだろう?」というテーマです。ただしこれは私だけが思っていることかもしれません。「専門家は皆、解離性障害の最終目標は人格の統合ということを言うけれど、そんなに簡単なものではないはずだ」と私はいつも思ってきました。そこで他の専門家の方々はどう思っていらっしゃるのだろう、ということを確かめたかったのです。ですからこれはちょっと危ないテーマであり、専門家の先生方にバッシングされるかもしれないという危惧もあるのです。
 私は精神分析学会に属しているんだけれども、たとえば精神分析学会の大会で解離をおおっぴらに扱うことはどちらかといえばタブーなわけです。治療者が別人格に話しかけるようなことは、普通はあり得ないことです。それは、やはり精神分析では心はひとつであるという大前提に立つからです。心とは一つしか存在しないというのはそもそもの前提なのです。それがいくつもあるんだとすると、心をどうやって理解していいかが分からなくなってしまうわけです。Dissociation、解離と反対の概念は association、つまり統合なわけです。解離とは本来は一つだったものが2つに、3つに分かれた状態だという認識が私たちの多くの中にあります。ただ私の個人的な体験だと、まず1人の人格がいて、その人格が耐えられなくなったときに、突然、忽然ともう一つの人格が表れるという感じがするのです。眠っていた人格が覚醒するといった感じです。だから我々の脳というのは、そういうものが覚醒するような素地を持っていて、皆さんの中の何人かは、そういうものが内部にいるものを感じ取っていて、でも DIDの場合には、ある時突然、生まれる、覚醒するというニュアンスが在ります。そうすると、それは分かれるというよりは新たに加わるというイメージがあるのです。その場合は回復のプロセスとは、新たに加わった人格が再び眠りにつく、冬眠状態に入るというプロセスがあってしかるべきだと思うのです。ここらへんのところをシンポジストの先生方はどうなのか という点に関心があります。