2018年8月22日水曜日

他者性の問題 8

このテーマについてあれこれ調べているうちに、ネットで興味深い論文を発見。Gharaibeh, N. (2009) Dissociative identity disorder: Time to remove it from DSM-V? Current Psychiatry. September 2009 pp. 30~36
ようするに、DIDはそもそもDSMから外すべきなのか、という挑発的な論文だ。それによるとアメリカで精神科医の専門医を対象に行った研究があるという。1999年の話だ。すると35%の人はDIDについては問題なく受け入れているという。ところが43%の人は疑いを持っているというのだ。そして15%は診断はDSMに加えるべきではないという。もし同じ質問を統合失調症やPTSDにしてもこんなことにはなり得なかったであろう。つまりこれは一種のスキャンダルなのだ。DIDにおける他者性ということで書いているが、それはこの疾患概念そのものに言えるのではないか。DIDという概念そのものが他者なのである。そして21%の精神科医のみが、診断基準として科学的な信憑性を持っていると感じているという。(Only 21% believed there was strong evidence for DID’s scientific validity.) このことはDIDにおける別人格は本当は他者じゃない、自分の一部だ、と信じる傾向をそのまま表しているのではないだろうか? DIDにおいて起きているのが、Divisive splitting なら、要するに別人格がいるというのは一種の「気のせい」なら、まだ許せるというわけである。 301 board-certified U.S. sychiatrists were surveyed in 1999 about their attitudes toward DSM-IV dissociative disorders diagnoses: 35% had no reservations about DID, • 43% were skeptical
• 15% indicated the diagnosis should not be included, in the DSM. Only 21% believed there was strong evidence for DID’s scientifiic validity. 

ということでいよいよマルチトラックセオリー、なんとか形にしなきゃなあ。
 私たちの中枢神経系に「意識」を生み出す最少部分が考えられる。これについては様々な仮説があった。Edelman の説(視床‐皮質)など夢中になったな。どうしているだろう?ということで調べてみると、なんとタダで論文を入手できた! Gerald M. Edelman,1,* Joseph A. Gally,1 and Bernard J. Baars (2017)Biology of ConsciousnessFront Psychol. 2011; 2: 4.