ということでこのポリベイガル理論、もう少し調べてみる。これはこれで少なくとも英語圏では熱烈な支持者がいるらしく、いろいろなサイトがあるし著書もある。ポリベイガル理論とは、重複迷走神経説、多重迷走神経説、多層迷走神経説などの呼び方がすでにあるらしい。そして昨日書いた VVC (腹側迷走神経系)、は最近では社会神経系 social neural system という呼び方をされているらしい。自律神経が社会機能を担っている、という論点がポージスの理論ではユニークな点ということになっているらしい。ちょっと調べたら、すでに2001年に、ポージス自身が論文にしている。
という論文だ。勿論論文を購入するにはお金がかかるので、抄録しか読めないが。抄録は以下の通り。
Abstract
The
evolution of the autonomic nervous system provides an organizing principle to
interpret the adaptive significance of physiological responses in promoting
social behavior. According to the polyvagal theory, the well-documented
phylogenetic shift in neural regulation of the autonomic nervous system passes
through three global stages, each with an associated behavioral strategy. The
first stage is characterized by a primitive unmyelinated visceral vagus that
fosters digestion and responds to threat by depressing metabolic activity.
Behaviorally, the first stage is associated with immobilization behaviors. The
second stage is characterized by the sympathetic nervous system that is capable
of increasing metabolic output and inhibiting the visceral vagus to foster
mobilization behaviors necessary for 'fight or flight'. The third stage, unique
to mammals, is characterized by a myelinated vagus that can rapidly regulate
cardiac output to foster engagement and disengagement with the environment. The
mammalian vagus is neuroanatomically linked to the cranial nerves that regulate
social engagement via facial expression and vocalization. As the autonomic
nervous system changed through the process of evolution, so did the interplay
between the autonomic nervous system and the other physiological systems that
respond to stress, including the cortex, the hypothalamic-pituitary-adrenal
axis, the neuropeptides of oxytocin and vasopressin, and the immune system.
From this phylogenetic orientation, the polyvagal theory proposes a biological
basis for social behavior and an intervention strategy to enhance positive
social behavior.
大事な部分を翻訳すると、次のようになる。
「系統発生学によれば、神経制御のシステムは三つのステージを経ている。第一の段階は無髄神経系による内臓迷走神経unmyelinated visceral vagus で、これは消化を司るとともに、危機が迫れば体の機能をシャットダウンしてしまう。第二の段階は交感神経系である。(中略) 第三の段階は、有髄迷走神経 myelinated vagus で、これは哺乳類に特徴的で、環境との関係を保ったり絶ったりするために、心臓の拍出量を迅速に統御する。哺乳類の迷走神経は、顔面の表情や発話による社会的なかかわりを司る頭蓋神経と深く結びついている。自律神経は系統発達とともに形を変え、ストレスに対処するほかの身体機能、つまり副腎皮質、視床下部下垂体副腎系、オキシトシンとバソプレッシン、免疫系などと共に進化してきた。
ここでわからなくなってきた。一応医者だから解剖学は医学部で教わっている。しかしだれも第5神経 (三叉神経)、第7神経 (顔面神経)、第9神経 (舌咽神経)、第11神経 (副神経) 神経が、結局は全部迷走神経だ、とは教えてこなかったぞ。だって迷走神経は第10神経だ、というのが解剖学の常識なのだから。いったいどうなっているんだろう?というよりいつから迷走神経はそんなに偉くなったんだ? 聞いてないぞ、オイ。
そこで Wiki 様をひいてみると、結構ヤヤコシイが、どうやら迷走神経は私たちが思っていた以上にストレス反応に関与していることが分かってきたという。VDK さんは、この理論が、なぜ優しい声や表情をかけられるなどの社会的なやり取りがストレスを軽減するのかを説明しているというのだが、私にはまだいまひとつピンと来ていない。先ほどの社会脳とのつながりのことを言っているらしいのだが。もうちょっと時間をかけて読んでみよう。夏休みだし。
そこで Wiki 様をひいてみると、結構ヤヤコシイが、どうやら迷走神経は私たちが思っていた以上にストレス反応に関与していることが分かってきたという。VDK さんは、この理論が、なぜ優しい声や表情をかけられるなどの社会的なやり取りがストレスを軽減するのかを説明しているというのだが、私にはまだいまひとつピンと来ていない。先ほどの社会脳とのつながりのことを言っているらしいのだが。もうちょっと時間をかけて読んでみよう。夏休みだし。