2018年8月3日金曜日

解離―トラウマの身体への刻印 14


VDKさんの本の12章の残りの3ページに描かれている症例が印象的。卵管の結紮術を受けている間、麻酔が弱くて覚醒していた女性のトラウマ体験。Anesthesia awareness という状態で、米国で毎年3万件ほど起きているらしい。この記述を読む限り、全身麻酔中は、覚醒してしまえば痛みをことごとく体験してしまうという。それはそうだ。全身麻酔と局所麻酔を両方使うことはしないだろう。ということは全身麻酔が効かずに覚めてしまうと恐ろしいことになる。何しろ筋弛緩剤が打たれて手を動かすどころか声を出すことも出来ない。呼吸もできないので人工呼吸器に繋がれた状態だ。するとそこで起きていることが、例えばメスで皮膚が切られて血が噴き出す感覚まで記憶に残るという。あるいは手術チームが術中に誰かの噂話をして盛り上がっているというのもトラウマになってしまう。あざ笑われている感じがするのだろう。そしてこの患者さんはそのトラウマから回復するのに何年もかかり、最後はピラテスに救われたとある。
教訓:全麻手術を受けるときは、薬を多めに使ってもらおう。