2018年7月30日月曜日

解離―トラウマの身体への刻印 10

  友田先生の本を読み進めるうちに、「トラウマによる脳の委縮」だけだと思っていた話が、「治療をすると脳の委縮が回復する。」となり、認知行動療法でも、薬物療法でもOK(つまり萎縮が回復する)ということになって行った。そういうことなんだ。例の一次視覚野の容量というのもかなり本質的な問題らしい。愛着障害のあるなしで左半球の一次視覚野が20パーセントも小さい、などの結果(p.96)をいったいどう理解したらいいのだろうか? 視覚野はもはや視覚以上の何かを担っているということだろう。
 97ページあたりから、私が一番関心を持つ報酬系のことが書かれている。たとえば愛着障害の場合には、ゲームで点数を稼ぐ、というようなごく単純な実験でも、報酬系が正常児に比べて光り難い。つまり喜びをさほど味わっていないということなのだ。これがおそらくリストカットなどによる通常は異なる報酬系刺激に関連していると考えることは容易だろう。
 友田氏の本には、勉強不足の私(書く目的でしか、読書しない)が知らないことをたくさん教えてくれる。子供に応用されるEMDRの形としての「バタフライハグ」(自分で自分をハグして、両方の手で左右をタッピング)。ヨーロッパでのオキシトシンの経鼻使用。(日本ではまだ認可されず。)そして豊富なケースが記載されて本が終わっている。
 さてちょうどいいタイミングでヴァンデアコークさんの「体はトラウマを記憶する」が届いたが、かなり分厚い。さっそくスキャンしてアイパッドに。新幹線で読みながら帰ろう。