こちらの例は、解離性の自傷行為の例として挙げられるものです。エリさんは、どちらかというと感情表現に控えめなところがあり、大勢で過ごすよりは、一人遊びや読書を好みました。また、幼い頃から継続して「想像上の友達」を持ち、解離傾向の高い少女といえました。エリさんの過去をさかのぼると、中学1,2年の頃も、教室をふらっと飛び出すということがあったことが分かりました。しかししばらくすると戻ってくるために、クラスメートはあまり気にかけていなかったようです。ただある時上履きのまま学校の外に出て行った姿を目撃されたこともあったと言います。
(中略)
このケースに見られるように、解離性自傷の大きな特徴は、痛覚を伴いにくいこと、また、明確な記憶を持たず、行為の主体者という意識が希薄であるという点にあります。