2018年1月15日月曜日

愛着理論と発生論 やり直し 4

この部分、まったく書けていなかった

以下に愛着理論の発展を「愛着と精神療法」(Wallin, 2007)を参考に簡単に追ってみたい。愛着理論の金字塔としては、なんといっても Bowlby Mary Ainsworth の二人三脚による有名なストレンジシチュエーション(以下「SS」と表記する)の研究が挙げられる。このSSについては周知のことと思うが、子供を実験室に招き入れ、親が出て行き子供が残された部屋にいきなり他人が侵入するという、まさに「見知らぬ状況」を設定する。そしてストレスにさらされた子供が示すさまざまな反応についての分類を行う。Ainsworth は三つの分類を行った。それらは不安-回避(Aタイプ)、安全(Bタイプ)、不安-両面感情ないし抵抗(Cタイプ)である。その後継者 Mary Main は成人愛着面接(AAI)に関する研究を行ったが、それは「愛着研究における第2の革命」と呼ばれるものである。これにより親は自分自身の親との関係に関する成育史を表現することになるのだ。ここできわめて注目すべきなのは、親のAAIによる分類が、子供のSSの分類が安定型か不安定型かを75パーセントの確率で予見するということを実証したという点であろう。また Main Judith Solomon とともにもう一つ新たに発見して提唱したのが、後に述べるタイプDである (Main, M., & Solomon, J. ,1986)
 Main に続いて登場したのが前出の Fonagy である。彼の理論は Bowlby や Main との個人的なつながりを通して形成されていった。そして当然ながらメンタライゼーション理論、間主観性理論や Jessica Benjamin の理論との関連を築いたのも Fonagy の功績と言えるであろう。


愛着理論から見た病態の理解

成人における愛着のタイプについては、Bartholomew & Horowitz (1991)の研究が広く知られている。彼らは, Secure, Anxiouspreoccupied, Dismissiveavoidant, and Fearfulavoidant.と言う分類を提案し、日本語では安定型、とらわれ型、拒絶型、恐れ型として表現されている(加藤、1998)。
愛着軽視型患者とは、強迫や自己愛およびスキゾイドからなる連続体の一部に位置するものについて、愛着理論から診断名を与えたものといえる。これは価値下げ型、理想化型、コントロール型に分かれ、それぞれ治療者に対する異なるかかわり方を示すという。また「とらわれ型患者」では、愛着軽視型患者とは対極にある患者として理解される。この「とらわれ型患者」は「感じることはできても対処ができない人々」と形容され、演技性~境界性パーソナリティ障害に対応する。そしてこのタイプの患者との治療的なかかわりについて考える際に、関係性、マインドフルネス、共感等の様々な議論が有用である。また 「未解決型患者」 で問題となる患者とは、成育史において外傷を経験し、その解決に至っていない人々である。その治療の際には患者の安全への恐れを克服し、外傷を言葉にすることを促し、マインドフルネスとメンタライジングを主要なツールとして用いると記されている。

David J. Wallin, D (2007) Attachment in Psychotherapy The Guilford Press.デイビッド・J・ウォーリン, 津島豊美訳 星和書店、2011年加藤和生(1998)  Bartholomew らの4分類愛着スタイル尺度 (RQ)の日本語版の作成 Journal of Cognitive Processes and Experiencing.9:pp, 41-50.
Bartholomew, K & Horowitz, L.M. (1991). Attachment styles among young adults: A test of a four category model. Journal of Personality and Social Psychology,6226-244.