2017年12月30日土曜日

M 推敲 1

よくわかっていないのに、もう推敲である。

 Mindfulness(以下「M」と表記) とは注意深さ、留意すること だからヘンな言葉だ。Be mindful, that・・・ という表現は、~を心にとどめよ、という意味である。だからマインドフルネストは、仏教用語の sati に由来し、ある種の覚醒、とか視野を広めること、高次の視座を獲得すると言った特別の意味を担っていたと言えるだろう。しかし現在用いられているこの語の意味は、今現在起きていることに意識を向けること bringing one's attention to experiences occurring in the present momentという意味である。そこでその意味でのマインドフルネスについて、以下「M」と表記することにする。 
 
この言葉を広めたのは、なんと言ってマサチューセッツ大学の Jon Kabat-Zinnだった。彼によって普及されたマインドフルネスストレス低減法Mindfulness-Based Stress Reduction (MBSR)がここまで大きな広がりを見せているのは、それがうつ病や不安、種々の身体症状や依存症などのさまざまな問題に効果をもたらし、それが人々にwell-being 安寧をもたらすことが明らかになったからである。それにより学校、病院、刑務所、企業などで広く取り入れられるようになったのだ。
   ここでMの要点をまとめておく。マインドフルネス(これ以降「M」とだけ表記しよう)の中核にあるのが呼吸法ということになる。何しろ吸うのも吐くのも710秒程度、というのが以下に遅いかが分かるだろう。それがすでに注意をひとつのことに集中するということへ向かわせる。これほどゆっくりの呼吸というのを私たちはしないから、自然と意識が呼吸に向かうのは当然かもしれない。そしてその間は少なくとも嫌なことは考えないことになる。ここがポイントだ。

 ただしもちろんMBSRは呼吸法には限らない。要するに今、現在のことに注意を払うわけであるから、たとえば体全体の感覚に意識を向け、おきていることを感じ取るというのでもいい。心臓の鼓動だっていいだろう。そのうちに人は注意を向けるという状態から容易に、アイドリング状態になっていく。つまりどこにも意識を向けていない状態だ。その場合には「イケナイ、イケナイ」「邪念、邪念」などといって注意を元に戻す努力をする。それが基本となる。