2017年10月3日火曜日

日本における対人ストレス (6)

「甘える amaeru-ing」―「甘やかす spoiling」の研究

このテーマに関連して、上記のテーマの研究が存在する。甘えさせるとは似て非なる「甘やかす」が「甘やかすー甘やかされる」の関係は、通常の「甘えるー甘えさせる」と違い、「親の側の都合で甘えさせる」という事が起きる。こちらは親が子供の甘えたい願望に働きかけてことさらに甘えさせる態度で、基本的にその親は「甘え」を体験していないというところがあるという。その結果として甘やかす親からは子供は本当の甘えを体験することが出来ず、この問題は「世代間伝達」されていくという。これは甘えのメンタリティーがはらむ問題である。甘える関係の基本は「人の心を読む」であるが、そこには一種の強制力が生まれる。甘やかしの例は、たとえば子供が欲しいものをすぐに買い与え、まだ子供の自律性を阻む行動をするだろう。子供が不安を感じるような事態は、先回りをして回避させてしまう。その際に決め手となるのは、親の側が実は体験している不安なのだ。親は自分の不安を回避することを主目的として、結果的に子供が自分で不安を処理する機会を奪ってしまう。もちろんこのような親の、ある種自己中心的な態度に対してそれを敏感に察知してそれを「ウザがる」子供はある意味では健全である。この研究を進める先生方の意見に相違して、甘やかす親からは、子供は大抵は甘えさせ部分のみを吸収して、それ以外の親の態度を棄却する。ところが時々不安の強い子供が現れ、「甘やかし」に「甘ったれ」ることで反応する。このような子供にとっては「甘やかす」親は渡りに船であろうが、実は子供にないことまで甘やかし親に「読まれ」てしまう。「あなたは一人でお買い物に行くのが、本当は不安なんでしょう? ママの助けが必要なんだよね。」そういわれた子供は「そうだったんだ、僕は不安で、ママの助けが必要なんだ」と「分かって」しまう。日本社会におけるマインドリーディングは、マインドインプランティング(心の植え付け)にもなってしまうのだ。