2017年10月29日日曜日

愛着と精神分析 ①

大変なことになった。このテーマでの原稿の注文である。●木先生からの注文となると、断るわけには行かない。でも何を書くことが出来るだろう。これまでこのテーマではいろいろ書いてきた。それを読み直すことからはじめるべきであろう。ということで数年前に書いた書評。津島先生の渾身の訳 「愛着と精神療法 デイビッド・J・ウォーリン (), 津島 豊美訳 星和書店 (2011)」(David J. Wallin PhD (2007) Attachment in Psychotherapy The Guilford Press.)である。緑色のかなり分厚い本だ。まあ読んでみよう。自分が書いたものだが。
「本書は「愛着と精神療法Attachment in Psychotherapy」という一見地味な表題であるが、中身は極めて斬新でありかつ最新の知見が満載の書である。現代の精神分析、発達理論、および脳科学の粋を集めている点で他に類を見ない。「愛着理論は発達論を関係論化したものである」という著者の表現が言い得ているように、本書は関係論という現代の精神分析の最先端の部分にも通じているという意味では、精神分析家を対象とした本としても通用する。私が本書を書評しようと考えたのは、1ページ毎に読まざるをえないという立場に身をおくことで、本書に盛り込まれた斬新な知識を少しでも吸収したいという実に利己的な意図からであった。そうか、やはり不埒な動機があったのだ。それほどの内容と可能性を秘めた本であるが、ただし本訳書はかなり大部で高価でもある。英語の原書でも366ページの大著であるからその全訳ともなると無理もないであろう。ちなみに6200円なり。
 全体は第一部「ボゥルビィを越えて」、第二部「愛着関係と自己の発達」、第三部「愛着理論から臨床実践へ」、第四部「精神療法と愛着型」、第五部「臨床的焦点を鮮明にする」という五部により構成されている。
以下に章ごとの簡単なまとめを行ってみる。
1章 「愛着と変化」では、発達理論に基づいた視点が、実はマインドフルネス、すなわち「気づいていることに気づいているというメタ意識」に基づいているという点が強調される。そして「マインドフルネスと、安定した愛着は等しい」、というやや大胆な提言がなされている。
2章 「愛着理論の基礎」では、ジョン・ボゥルビイとメアリー・エインズワースの二人三脚が、有名なストレンジシチュエーションの業績につながったという点や、いわゆる無秩序型愛着と虐待との関連について学ぶことが出来る。

まあ、最初はこのぐらい。