2017年6月15日木曜日

項目 3 神経精神分析

神経精神分析[600字]

神経精神分析 neuro-psychoanalysisは現代の精神分析における新しい流れとして注目されている。Mark Solmsらの尽力により1990年代になり生じた流れで、現代的な神経科学の知見を踏まえて、フロイトが唱えた精神分析の理論に関する検証を行う動きである。Antonio Damasio, Eric Kandel, Joseph LeDoux, Jaak Panksepp, VS Ramachandran, Oliver Sacks などの著名な神経学者が貢献している。精神分析の歴史を振り返れば、フロイト自身が神経学者であり、脳の神経学的基盤を理解することを試みていたという経緯がある。神経精神分析はフロイトのその路線を継承しつつ、現代的な脳科学の知見を取り入れたうえであらたに発展させることをその目標としている。なお神経精神分析のわが国の導入に関しては、岸本寛史、平尾和之らの京都グループの尽力がある。現在では、「神経精神分析協会The Neuropsychoanalysis Association という国際組織が作られ、ニューヨーク、ロンドン、ケープタウンを拠点として活動を行っている。また機関誌としては journal Neuropsychoanalysis がある。