2017年1月18日水曜日

BPD ⑨

その他のパーソナリティ障害 DSMに記載された、いわゆるクラスターBのパーソナリティ障害、すなわち自己愛、演技性、反社会性はいずれも、そこに高い情動性や他者に対する巻き込み傾向がBPDに類似する傾向にある。自己愛人格障害の多くはBPDの所見を見せることがあるが、基本的にはその防衛がBPDに比べてしっかりし、自己破壊性や空虚感が見られないことで区別される。演技性パーソナリテイ障害もまた、操作的な言動、強い情動の表出等はBPDに類似するが、そこに空虚感や抑うつ、自己破壊性が伴わない点でBPDと区別される。さらにBPD障害は不安定で激しい対人関係という典型的な様式によつて,依存性パーソナリテイ障害と区別することができる.さらにはBPD障害は,持続的な物質使用に関連して現れる症状とも区別されなければならない。基本的に情動が不安定で演技的な傾向も強い患者の場合、覚せい剤、アルコールなどの使用時にきわめて退行した衝動性を見せることがあり、BPDを疑わせることがある。しかしその場合はそれが薬物を使用しない場合に比べて明らかに行動が異なること、薬物からの離脱後にそれを記憶しないことなどの点で区別される。
いわゆるボーダーライン反応:岡野はBPDの診断を特に有しない人においても、他者から去られたり、自分のプライドを著しく傷つけられるなどの際に相手を攻撃し、結果を顧みない行動をとることがあり、それをボーダーライン反応として概念化している。思春期に不安定なとき、飲酒が重なった時などに生じることが多いとする。
<経過>
この件に関するWIKIの記載や良し。

BPD障害の経過はかなり多様である。最も一般的な型は,成人期早期の慢性的な不安定さが続き,経過の中で深刻な情動および衝動の制御困難を伴う様式で,身体および精神保健資源を利用することが多い。この障害による機能障害と自殺の危険性は若い成人の数年間で最も高く,加齢とともに低くなっていく。← ここの部分別の研究も読んだぞ。確かに加齢とともに衝動性は低下していくが、自殺は逆に増えていく、という…。激しく情動的になる傾向,衝動性,対人関係における激しさはしばしば一生続くが,治療的介入を受けた人はその最初の1年以内から改善し始めることもしばしばある。この障害をもつ人の大部分は,30代や40代になれば,対人関係も職業面の機能もずっと安定してくる。精神科外来患者を対象にした追跡研究では,10年後には半数に達する人がBPD障害の基準を完全に満たす行動様式をもはや示さなくなる.生涯にわたり親密な関係を回避することで安定するケースの話とかね。