2017年1月17日火曜日

BPD ⑧

<鑑別診断>
BPDの診断に関してしばしば出会うのは、「BPDかそれ以外か」という二者択一的な見方である。しかし両者は併存している場合が多く、その場合BPDの病理より目立つことになる。ただし逆に言えば、並存症の回復により、BPD的な振る舞いが目立たなくなり、診断基準も満たさなくなるという現象が見られることも注意したい。
感情障害(うつ病、双極性障害) BPD障害は, しばしば感情障害と合併する。BPDによる慢性的な抑うつ気分と、双極性における(軽)躁的な気分や衝動性の昂進はBPDにおける逸脱行動に類似することがある。ただしうつ病とBPDが併存した場合、うつ病の回復とともに、BPDの約半数が診断基準を満たさなくなったという報告もある(要出典)。
解離性障害 BPDと解離性障害はしばしば混同される傾向にある。解離性障害における自傷傾向や自殺念慮、人格交代の際に見られる衝動性や他者への攻撃性はしばしば重複する傾向にある。さらには両者には類似する生活史が見られることもある。またBPDの第9診断基準に解離症状が掲げられていることも、混同に一役買っている可能性がある。無論併存が見られることもまれではない。しかし両者には外在化傾向、自罰傾向といったきわめて異なる性格傾向が見られることも事実である。
統合失調症、そのほかの精神病 BPDが歴史的にみて精神病水準と神経症水準の中間に位置するという見方があった。確かにBPDには思考につじつまの合わなさや一貫性のなさ、被害念慮などが見られることがあり、少量の抗精神病薬が奏功することもある。