2016年11月5日土曜日

新無意識 推敲後

昨日の朝書いたものを推敲したら、長くなった。


新・無意識の性質

  •      フロイトの無意識には欲動が詰まっていて、それが人を突き動かすと考えられた。
  •     「新・無意識」においては欲動に相当するものは存在しない。その代わり報酬系と本能を備えている。
  •     新・無意識は、フロイトの自我、超自我、エスのほとんどを包含してしまう。他方では「意識」はワーキングメモリー程度でしかない。
  •    「新・無意識」の実体は巨大なニューラルネットワークであり、そこでは予測誤差を基にした強化学習(ディープラーニング、深層学習)が常に自動的に行われる。
  •     意識の次の内容は新・無意識でダーウィニズムに従って創り出され、それが主体性、自立性の感覚を伴って意識野に押し出される。(新無意識が意識内容を決める「サイコロを振って」いる。従って・・・
  •      言動、ファンタジー、夢などは、その背後に明確な動因が存在しない場合が多い。(細かい複数の動因はたくさん存在し、それらが重層決定(フロイト)する)
  •      一貫性、プライオリティ、排他性を満たした言動、ファンタジー、夢が「生き残」る場合が多い。
  •      意識内容や行動の決定(サイコロ振り)には尾状核の関与か?

新・無意識の理解に基づく治療論
 

  •     「新・無意識」の取扱説明書は(まだ)存在しないため、治療上の基本原則(レシピ)は存在しない。そのため経験則はやはり意味を持ってくる。(「来談者中心療法」の再評価?)
  •       患者の言葉が重層決定されている以上、それを深読みして解釈する意義はそれだけ少ない。
  •       患者の自由連想も、それに対する治療者の解釈もエナクトメントと言うニュアンスが付きまとうのである。
  •       精神療法も結局は二つの新・無意識の間のディープラーニングである。そのためのよりよい刺激の供与が重要となる。(治療者も自分の新・無意識が治療に用いられていることの自覚が必要となる。)
  •       治療者に要求されるのは主体性の発揮と同時に患者へのインパクトの様子の精査である。
  •     主体関係論(Subject-relations theory) に基づく治療: 治療の基本は患者の話に共感し、そのための明確化を進めていくことが基本となる。その差異に常に治療者の側の現実との照合が問題になってくる。患者の話を聞きつつ、それが治療者と言う他者からどう見えるかについての情報を提供すること。