2016年11月17日木曜日

解離性障害 推敲後 ①

欧米のメディアは、日本が巨大なシンクホールを一週間で修復したことを賞賛したという。確かに誇らしいことだが、これとブラック企業の体質はおそらくつながっているのであろう。


解離性障害の位置づけ
精神医学や心理臨床における解離性障害の認知度はいまだに十分高いとは言えない。しかし精神科医や心理士から、解離性障害を有する患者に出会い、その対処法を知りたいという声をしばしば耳にするようになった。解離性障害は長い間、差別的な語感のある「ヒステリー」と呼ばれ、言わば不遇の時代を超えてきたという歴史がある。
 解離性障害は正式には米国での精神医学の診断基準であるDSM-III1980年に発表)において、ヒステリーの呼び名を離れて精神医学で事実上の市民権を得た。それ以降解離性障害はWHOの診断基準であるICDにも収められ、その診断基準はいくつかの変更を加えられてはいるものの、その位置づけはより確かなものとなっている印象を受ける。
 この間の識者の間での解離の理解のされ方(「の」が7回連続。悪文の典型である。)は何度か改訂を経たDSMの診断基準に反映されている。1980年に出されたDSM-IIIには「記述的でありかつ疫学的な原因を論じないという」原則があった。これは米国における精神医学を長年牽引した精神分析理論の持つ原因論的、因果論的な傾向に対する揺り戻しの意味を持っていた。解離性障害もそれが単体としてリストアップされていたのである。しかし2013年のDSM-5においては、「トラウマとストレス因関連障害 Trauma and Stressor-Related Disorders」という大きなカテゴリーが出来、解離性障害もここに入れるべきであるとの議論があったという。しかし最終的にそのカテゴリーから外れたのは、解離性障害の診断基準のどこにも、トラウマの既往やそれと発症との因果関係がうたわれていないという点が大きく関係していたと考えられる。ただし掲載の順番としてはその次の分類として位置づけられることとなった。(7.「心的外傷およびストレス因関連障害群、8.「解離症群/解離性障害群」、9.「身体症状症および関連症群」の順である。)現在公開されているICD-11ベータ試案では、「ストレスと特に関連する障害群 disorders specifically associated with stress」と 「身体苦痛障害 Bodily distress disorder 」の間に位置しており、その扱いはDSM-5に準じている。