新・無意識の理解に基づく治療論
「新・無意識」の取扱説明書は(まだ)存在しないため、治療上の基本原則(レシピ)は存在しない。例えばどのような無意識的な内容を想定し、どのような言葉で解釈したらもっとも有効化などは、とてもしるすべがない。すると治療のための原則はかなり大雑把なものになってしまう。そこで意味を持つのは経験則である。(「来談者中心療法」の再評価?)
Lambert, M. J. 1992 Psychotherapy Outcome
Research:Implications for Integrative and Electic Therapists. Handbook of Psychotherapy
Integration. によれば、
1: 治療外の要因(Extratherapeutic Change)----40%
偶然の出来事、クライエントが元々持っている強さ・リソース・能力。
2:共通の要因:治療関係の要因(Common Factors)----30%
受容・共感、思いやり、はげまし、クライエントの治療への関与の質、セラピスト・カウンセラーとクライエントとの関係性、治療法についての同意など
3:希望・期待(Expectancy、Placebo effects)----15%
4:モデルと技法(Techniques)----15%
特定のモデル・技法・テクニックが持つ効果a.治療外変化40%: これらの要因は、一部はクライエント側の要因(例えば、自我の強さや他のホメオスタティックなメ カニズム)であり、一部は環境側の要因(例えば、幸運な出来事、ソーシャル・サポート)であり、クライエントが治療に参 加しているかどうかにかかわらず、回復に役立つ要因である。 b.期待(プラシーボ効果)15%: その治療についてクライエントが持つ知識からくる治療効果の部分と、特定の治療技法 ・理論についての真実らしさからくる治療効果の部分。 c.技法15%: 特定の治療技法(たとえば、バイオフィードバック法、催眠法、系統的脱感作法など)に特異的な要因。 d.共通要因30%:セラピストがどんな理論的オリエンテーションを持っているかにかかわらず、いろいろな治療において見 いだされる多くの変数を含む。例えば、共感、温かさ、受容、危険を冒すことへの激励などである。