2016年7月13日水曜日

自傷と報酬系 ④


DSMの非自殺的な自傷行為の記載を見ていて思った。三つの場合を想定していることになる。
(1)否定的な気分や認知の状態を緩和する
(2)対人関係の問題を解決する
(3)肯定的な気分の状態をもたらす
ところがここに、例えばヘロインの離脱の状態は入ってこない。禁煙中でどうしても我慢できなくて、リストカットをしました、という話も聞かない。つまり報酬系がその満足のための物質をピンポイントで求めている時、自傷はその代替手段にはならないのだ。ただしその逆はあるかもしれない。失望体験があったのでやけ酒を飲んだ、とか。家族に会えない寂しさから、覚せい剤に走ったとか(某もと野球選手?

報酬系にはいくつかの状態像が考えられるのではないか? 例えば過剰興奮状態や過少興奮状態。精神的な苦しみを抱えて、自傷行為を求める場合には、ある種の精神的な痛みを和らげるためにその手段が選ばれる。ところがそれは特定の満足手段を有するのかどうかにより性質が異なる。
過少興奮状況にある報酬系には、

1.目標となる物質が存在する場合(動的な不快1) ← 自傷は生じない。(自傷では和らげられない。)
2.目標となる行動が存在する場合(動的な不快2)← 強迫行為を行う
3.苦痛を回避している場合 (動的な不快2)
4.心理的な要因がある場合 (静的な不快)← 喪失体験など。自傷により和らげられる可能性がある。

過剰興奮にある報酬系
1.報酬勾配に導かれている場合(動的な快)
2.現時点で快楽を味わっている場合(静的な快)