2016年6月9日木曜日

愛 ⑥

昨日の話の続きである。
 まず動物が交尾をする。すると二つのホルモン(オキ、バソ)が放出され、報酬系のドーパミン神経を刺激する。扁桃体の外側も刺激される。そして報酬系からはドーパミンが放出される。すると交尾の相手のイメージが脳に焼き付き、草原クンはその相手に恋をした状態になる。惚れ込みが起きたのだ。すると他の相手とは交尾をしなくなる。恐らくその相手との交尾でドーパミンが放出されたことが、扁桃体を介してその相手に感作された状態を作る。つまりその相手を見ると、ビビッと来て(おそらくハタネズミの場合は匂いか?)デートをしたくなる。その際おそらく例のメンタライゼーションも含めて機能停止し、相手のハタネズミが理想の恋人に見え、とても美しく感じ続けるのだ。
ちなみに米国で売られているオキシトシンは、「媚薬」扱いである。アマゾンで見てみよう。相手にシュッとかけるとこちらに恋をしてくれることになっている。(決して自分に吹きかけないように。特に恋をしてはいけない相手と一緒に居るときは。)
  ちなみに、オキ、バソはつがい形成に役立つが、微妙な違いもあるという。オキは不安を和らげるが、バソはむしろ高め、嫌いなものを見分ける際に関与する。ここで特に大事なことが書いてある(P116 右コラム)。オキシトシンの不安解消は、それがオキシトシンを「信頼ホルモン trust hormone」と呼ばせるような性質を与えるという。つまり見ず知らずの相手に対して惹かれて話しかける、というわけだ。通常動物でも人間でも、雄雌どうしはなかなか打ち解けず、近づかないものだが、オキシトシンが介在することでぐっと両者が近づくという現象が起きるのである。
またバソプレッシンは嫌いなものを見分けることに関与する、と書いたが、英語では aversive learning と書いているのをこう訳しているわけだが、結局は嫌いな相手は「あんたなんかイヤ!」という反応を起こすと考える事が出来るだろうか。つまりつがいを選択するときは、惹かれるか、撃退するかのかなり明確な行動が必要となり、後者をバソが担当していると考えられないか?動物の行動を見ていると、メスのタコなどは(別に鳥でもトドでも同じだが)自分の前で恋の争いをするオス同士の勝敗が決まると、負けたオスには見向きもせず、ケンもホロロの扱いをする。そしてかったオスの方になびくのだ。関係ないか?


 次にドーパミンについて詳しく書いてある。これまで書いたことを一言で言えば、報酬系には、オキ、バソのリセプターがたくさんあるよ、ということだ。ここもハタネズミの恋バナばかりだなあ。要するにとにかく交尾で側坐核のD-2(ドーパミンのいくつかの種類の一つ)リセプターが刺激されることが大事。交尾をさせなくても D-2 作用薬で相手にほれ込んでしまうという。