2016年6月8日水曜日

愛 ⑤

オキシトシンとバソプレッシン、面倒くさいがこの論文には詳しく書いてあるので、この機会に整理しよう(P117,右コラム)。まずオキシトシンが担当するのは子宮収縮と射乳。赤ちゃんが生まれるとき、子宮や乳房の平滑筋をキュッと収縮させるから陣痛も起き、オッパイも出るというわけだ。これらの器官にはオキシトシンのリセプターが多いと考える事が出来るだろう。だから男性ではオキシトシンが出てもどこもキュッとするところがないわけだ。さてバソプレッシンはアミノ酸の配列が少しだけ違っているが、だいたいオキシトシンに近い構造を持つホルモン。これは血管の周りの平滑筋をキュッとするから血圧が上昇して維持される。こちらも重要だな。
もともとバソプレッシンとは、バソ(血管)をプレッスする(圧をかける)という意味だ。
両者の化学構造を比較してみよう。
 こうやって見るとリングの中の一つのタンパク、側鎖の一つのタンパクが入れ替わっているという違いがあることがわかる。だからホルモンの分子の大部分は共通していて、類似した作用を起こすことになる。発生的には同一のホルモンだったことは間違いない。そしてこれらの二つのホルモンのリセプターは脳の至る所に分布し、特に報酬系に豊富であるという。そのうち草原ハタネズミは特に側坐核と扁桃核外側。これを覚えておこう。それに比べて山岳ハタネズミは外側中隔野(ここも報酬系だ。ヒース先生が電極を埋めたところである)。この分布が彼らの行動の差に大きな違いを生む(P118,左コラム、中段)。
 そして山岳ネズミに、平原ネズミのバソプレッシンの受容体と同じ分布を表現させると(よくわからないが、遺伝子操作でそういう事が出来るのだろう)、要するに報酬系でたくさんのバソプレッシンの受容体を増やすと、山岳クンは、平原クンと同じように、一夫一婦的になるという。よし、人間でもやるか。やはり絶対人間でも同じことはあるだろう。研究の結果、芸能人の○○○は、山岳タイプのオキシトシン、バソプレッシンの受容体の分布をしているとか。自分の脳も見てみたいものだ。
 さてここもとても分かりにくいところだが、報酬系がオキシトシンにより刺激されると、ドーパミンが放出される。それは当然だ。そしてそのドーパミンがブロックされると、これらのホルモンの効果が見られなくなる。二つのホルモンはドーパミン依存だという。つまり両者はドーパミンを放出するということで役割を完結させるということだ。どういうことだろう?ここは専門家も絶対わかっていないところなので、あえて想像する。以後、次回。