リンデン氏の書(デイヴィッド・J・リンデン (著), 岩坂 彰 (翻訳) 快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか 河出書房新社 2012)には興味深い例が挙げられている。サルを訓練させたうえで、緑の信号を見せる。すると猿の報酬系は一瞬活動を増す。これは「やった、甘い水がもらえる」というサインであり、実際に2秒後に口の中に砂糖水が注がれる。そうしたうえで青信号を導入する。青信号は、甘い水が2秒後に与えられる確率は50%にすぎないようにトレーニングするのだ。すると青信号がともった瞬間にやはり報酬系が興奮し、だらだらと持続し続ける。2秒後にもらえてももらえなくても、結果が分かった時点で興奮は止んでしまう。なんという驚くべきことだろう。(前から知っていたが)期待するだけで(半ばダメもとでも)楽しいなんて。
ということでこのテーマについて論じた論文が手に入ったので、しばらく読んでみる。(
Wolfram Schultz (2007) Multiple Dopamine Functions at Different Time Courses.
Annu. Rev. Neurosci. 30:259–88) ・・・・と思ったが、これがとにかくムズカシイ。音を上げてしまったので、しばらく本文を書き続ける。
待っているとき、すでに報酬系が働いている。結果のいかんに関わらず。競馬でいったら、馬券を買ってから疾走馬がゲートに入り、一斉にスタートをし・・・・そのすべてのプロセスが楽しいことになる。たとえ負けたとしても。どういうことだろう? 負けたらもちろん失望する。しかしその分は待っていたときの快感の総和より少ない? そういうことだろう。
結局この図を描きたかった。
これは「脳から見える心」で示した以下の図の改変ということになる。