付録の章 自己愛アフォーダンス
自己愛の問題と「自己愛トラウマ」
自己愛に関する論考として私に与えられたテーマは「自己愛と恥について」であるが、これはとてもありがたいことである。というのもこれ以外のテーマでは書きようがないと感じるほどに、私にとっては自己愛のテーマと恥とは不可分なのである。
そもそも自己愛の問題を臨床的に取り扱わなくてはならないのはなぜか。それは人の持つ自己愛の問題が周囲に大きな迷惑や災厄を及ぼしかねないからである。自己愛者(本稿では自己愛的な問題を抱えた人についてこのような呼び方をさせていただこう)は周囲の人々に対して支配的に振る舞ったり、怒りをぶつけたりする。彼らの多くは社会の中では強者であり、虐待者の側に立ちやすい存在と言える。彼らの病理を理解し、治療的に扱うことは多くの人を救うことになるのだ。
以下略
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