2015年6月4日木曜日

米国におけるレジデントトレーニング (3)


さて米国のレジデントトレーニングは、最初の一年は特にインターンと呼ばれ、多くの科を回ることを原則です。ただし精神科のトレーニングは一年目の後半からすでに始まります。最初の半年は、内科、神経内科を中心としたものでした。
大体授業はウィークデーの午前中、そして午後からは自分のトレーニング機関に出かけていくというスケジュールです。トレーニング機関での研修は、昼の部と夜の部に分かれる、と言っていいでしょう。と言っても夜間部があるわけではなく、夜の部というのは当直体制です。米国では総合病院が精神科の病床を持っていないことの方が珍しく、またERには精神科の患者も普通に入ってきます。そこら辺の差別を一切しないのが米国流です。救急車は内科の患者も精神疾患が疑われる場合も、ERに運んできます。ERは精神科も対応が出来るというのは前提です。そこでその総合病院をトレーニング機関としている精神科のレジデントは、そこの当直を受け持ち、そこのERを受診した精神科患者のインテーク、そして多くの場合には入院のためのアセスメントをすることになります。米国の医療のマンパワーの非常に多くが、このレジデントに依存しているところがあります。レジデントもこれが実はアルバイト代が入ることで生活の支えとなることだけでなく、重要なトレーニングの機会となっていることを心得ていますので、誰も文句を言いません。レジデントは一年目のトレーニング(インターンシップ)の終わりにUSMLEstep3 を受験して正式な医師免許を獲得します。こうして2年生になるといよいよ正式な医師として一人での活動が出来るようになり、数日に一度程度の当直を担当することになります。その多くは病院内の当直医用の部屋で待機し、あるいはERに駆けつけることのできるところに住居がある場合には家で待機し、呼び出された場合には病院に駆けつけ、精神科の患者と対面をします。私は精神科レジデントのこの二年目が、学習カーブが一気に上がる期間だと考えます。そこでレジデントは独り立ちをすることを迫られます。ERに呼び出され、そこに運ばれてきている患者のアセスメントをし、スーパーバイザーと電話で相談しながら入院の書式を埋め、検査のオーダーを出し、病棟まで患者を誘導し、スタッフに状態を説明してオーダーを確認する。一人の精神科医がやれることをすべてこの時期に出来るようにならなくてはならないわけです。