2015年6月5日金曜日

米国におけるレジデントトレーニング (4)


さて主として午前中に行われる授業は、その質と量はプログラムに代って相当差があるようです。私もオクラホマ・シティのプログラムとメニンガーのプログラムの質と量の違いに驚きました。オクラホマの方は毎年のように定員割れが生じ、他方のメニンガーはアメリカでも12を争うプログラムとあれば、そのようなさが生じるのはわかります。しかしいずれにせよACGMEという期間の定めた既定にクリアーした期間がレジデントを募集するわけです。私の得た情報では、現在全米でACGME 認定の精神科レジデントトレーニングのプログラムが189あるとのことです。

“Training Requirements
Training consists of a minimum of four years of postgraduate education. There are 189 psychiatry residency training programs accredited by the ACGME for 2012/2013 offering more than 1,100 categorical positions available to U.S. seniors.”

米国におけるスーパービジョン

ここで米国におけるスーパービジョンについて言及したいと思います。一番私が印象に残ったのは、それぞれのクリニカルアサインメントに移るたびに、そこでスーパーバイザーを与えられ、週に一度50分のセッションを設けるという体制が徹底しているということです。これは日本の臨床現場では中々できないことですが、よく考えると、日本では精神科医は自分のオフィスを持っていないということがあります。米国の場合は、少なくともレジデントの段階から必ずオフィスを与えられていました。ですからスーパービジョンは、バイザーのオフィスに出かけて行って一時間みっちりセッションを受けることになります。その体制が取られているということが非常に大きな意味を持つと考えました。
もう一つはバイザーとバイジーの関係は、その週一時間のセッションを基本にしてお互いがお互いを評価するという関係にあるということです。もちろんバイザーはバイジーの臨床活動について評価をしますが、バイジーはいわゆるリトリートを通じてバイザーを評価するという機会があります。リトリートは半年に一度、どこかの会場やレジデントの自宅を借り切って一年から4年までのレジデント全員が一日集合し、バーベキューを焼いたりしながら授業やスーパービジョンの評価をします。そしてそこで得られたフィードバックが、教員が時期に担当する授業を決めることになります。私はアメリカでのレジデントトレーニングは基本的には非常にフェアに行われたという印象がありますが、それはバイザーの方もまたバイジーであるレジデントからの評価を非常に気にするという体制があるからです。