2014年10月2日木曜日

脳と心(2)

 日本により開発された光トポグラフィについての一言触れたほうがいいだろう。この技術もすごいよね。血中の酸素を含んだヘモグロビンはかなり鮮やかな赤だ。内科のレジデントをやっていたときに、動脈血採取というのをやったが、試験管に入ってくる血液は、静脈血に比べて明らかに色が違った。その違いを測定するのが、この光トポだが、あえて問題になるとすれば、脳の表面の情報しかわからないということだろうか。以下はネットから
人間の脳は活動が増すと局所的に血液量の変化が起きる。エネルギー源となる酸素などを脳に送るため、血液量が増大するからだ。その際、酸素運搬の役目を担うのが、主に赤血球に含まれるヘモグロビン。ヘモグロビンは酸素と結合すると鮮紅色に、酸素を離すと暗赤色になるなど、可視光を吸収すると特有の色を示す色素タンパク質。この性質を利用し、頭皮上から微弱な近赤外光を照射し、戻ってきた光を検出することでヘモグロビンの濃度変化を計測する、分光学的計測法が「光トポグラフィ」。日立製作所中央研究所が世界に先駆けて実用化にこぎつけた技術である。

脳の表面ということは、大脳皮質ということだ。大脳皮質は脳の高度な情報処理を行う部分である。簡単に言えば。特に前頭葉の血流測定が行われるが、それが人間の脳の高度な機能をつかさどることはよくご存知だろう。その働きを、ウェアラブルな形で伝えるのが光トポの特徴だ。それに比べてFMRIなどは機能が高くなればなるほど聞きも大掛かりになり、とてもウェアラブルとはいかない。
最近のトピックとしては、血流量のパターンは、健常、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症で、この光トポによる異なったパターンが見られるという研究結果である。あります。ただし、あくまでも診断手段としては補助的ということだが、これでもある実際に見られる形で精神科の診断につながる情報が得られるということで、精神科の世界では非常に大きなニュースとなった。