2014年6月27日金曜日

解離の治療論 (71)

 さて眼窩前頭野は、この抑制の役割をうまく果たしてくれるのは、その位置が大きいという。それは皮質と皮質下の構造の間に位置するからだという。つまりそのすぐ下は大脳辺縁系だという。あれ、眼窩前頭野のすぐ下って、眼窩、つまり眼球の収まったスペースじゃなかったっけ?早速解剖図譜を見直すつもりで検索したら、こんな素敵な図が出てきた。(國米欣明(こくまいよしあき)先生という著者の名前も出ているし、いいか。)





まさに眼窩前頭皮質が大脳皮質と辺縁系の中継地点であることを示しているではないか。辺縁系は、眼窩前頭皮質と、奥の方で接している、という意味だ。

前頭皮質は視覚野とも聴覚野とも、身体感覚系ともつながっているという。こういう時つながっているとはふつう、双方向だ。信号を出すし、受け取っている。また皮質下の、たとえば扁桃核、中隔核、外側視床下部、腹側被蓋野ともつながっている。こちらの方は快感をつかさどる領域として名前が出てくる。実はこの後、眼窩前頭皮質がいかにいろいろなところと連絡しているのかの記述が延々と続くがここは省略しよう。それとこの領域は、生まれた時にかなり髄鞘化が進んでいるという。これは成熟が遅い前頭葉では異例のことで、この領域が幼少時に活発に活動し、その臨界期も23歳という幼いころに設定されていることを意味する。何を意味するかはおわかりだろう。この領域は愛着にも、トラウマにも非常に敏感であるということだ。前者はその発達を促進し、後者はそれを阻害するということである。