2014年6月4日水曜日

解離の治療論 (49)解離性障害を診断する (3)


側頭葉てんかん

解離状態が頻発するとみられる場合、それが時にはてんかん症状と区別がつきにくいことがある。特に患者が幼児期にトラウマを体験し、一見子供人格に帰りフラッシュバック用の体験を持っていると思われる状態が、実は側頭葉てんかんによる症状と混同されることがある。
清水クリニックの清水先生は側頭葉てんかんについていかにお書きになっている。(http://members3.jcom.home.ne.jp/smzhry/tle-only.html#mokuji

最も一般的なタイプは、まず上腹部の不快感などの前兆があり、虚空を凝視します。顔がチアノーゼで青くなる人もいます。口をペチャペチャさせたり、舌をツパッツパッと鳴らしたりする自動症が見られます。「はい、はい」などの、その場と関係のない言葉を反復することもあります。中には、歩き出したりする徘徊自動症というのもあります。発作の持続時間は,大体1-2分です。その後、5-6分くらいもうろうとした状態が続いて、回復します。患者さんは、発作の前兆ともうろう状態の部分は記憶していますが、発作中のことは全く覚えていません。名前を呼ぶと、返事をすることがあるので、周囲の人は意識があるように錯覚しますが、本人は記憶していません。さらに、発作の間は、熱い、冷たい、痛いなどの感覚がありません。このため、発作中に熱湯が体にかかっても、発作が終わるまでは気づきません。
家庭の主婦が、家事の最中に発作を起こして、大やけどをすることもあります。最も怖いのは、入浴中に発作が起きて、風呂の湯を発作中飲み続けて、溺死などの悲劇につながることです。このように、余り目立たない発作ですが、全身けいれんなどよりも、はるかに生命に対する危険性が高いといえます。さらに、やっかいなことは、発作の前兆がない患者さんも少なくありません。前兆がないと、発作があったことすら自覚できず、危険性の高い発作にもかかわらず患者さんの病気に対する自覚が低いこともこの病気の治療が困難な原因の一つとなります。


私の体験したあるケースは、その「発作」の最中に、周囲に助けを求めたり、許しを請うたりする言葉が繰り返され、一見幼少時のトラウマを再現しているようであった。しかし繰り返して脳波をとった結果として異常波が見られ、抗てんかん薬が処方されることで症状が軽快した。