2014年5月30日金曜日

解離の治療論 (44)欧米における解離の治療論(18)


少し考え直した。入院治療についてここで何も書かないと、いよいよ読んだ人は途方に暮れるであろう。そこでやはり書いておくことにする。
解離性障害の入院治療
解離性障害の治療は主として外来治療で行なわれる。それは治療が比較的長期にわたること、そして自傷行為等の懸念される行動は一過性で、家族の対応や頓服薬の使用などで対処できることが多いことなどがその理由である。ただし自傷傾向が強まったり、PTSD症状が激化したり、併存症である気分障害が強まった場合には一時的な入院治療を考える事が出来るであろう。入院の目的としては、現在の不安定化を招いている事態(たとえば家族間の葛藤、深刻な喪失体験など)を同定し、それを改善してもとの外来による治療を再開できるようにするためのものであるという。
ただし現在の我が国の精神科病棟での治療の在り方を考えた場合、解離性障害の治療の多くが短期間の安全の提供や危機管理、症状の安定化に限られる傾向にある。
 しかし長期の入院の期間が経済的その他の理由で可能であれば、注意深く外傷記憶を扱ったり、攻撃的ないしは自己破壊的な交代人格を扱うこともできるだろう。またトラウマや解離性障害を治療するような特別の病棟があった場合にはなおのこと、治療効果を発揮するであろう。」
なおガイドラインには、次のように書いてある。「入院中に暴力的に振る舞い、言葉や行動や薬物による介入が功を奏しない場合には、閉鎖室や身体拘束や薬物による拘束が必要となる場合もあろう。しかしそれらの拘束の手段は、症状のマネージメントや症状を抑え込む手段containment stragegiesにより、実際に用いなくても済む場合が多い。後者の方法としては、ヘルパーの交代人格helper alternate identity  に接近したり、自分の心の中の「安全な場所」に行くというイメージ療法や同じくイメージ療法を用いて感情の「ボリュームを下げる」試みをしたり、安定剤、抗精神病薬を用いたりすることがあげられている。ところでトラウマについて扱っている間に、『自主的な』身体的拘束”voluntary” physical restraints により暴力的な交代人格をコントロールするという方法は、もはや適切な介入とは考えられていない。」
ここら辺、使わせてもらおう。ただし小保方さんのこともあるし、ここも自分で書くぞ。
「解離性障害の入院治療の意義として特記すべきことは、病棟による安全性が保たれることで、患者の退行を回避する必要がなくなり、より踏み込んだ治療が行える可能性が生まれることだ。外来治療においては特定の交代人格のまま治療を終える事が出来ない場合、実質的にその人格を扱う時間は非常に限られるが、入院治療においてはその限りではない。また入院中に家族を招いてのセッションなどが可能な場合もあろう。」
なんか舌足らずだから、あとで直すが、言いたいことはわかってもらえるだろう。