2014年5月25日日曜日

解離の治療論 (38)欧米における解離の治療論(12)

ところで前回の考察(数週間前の話だ)では、この部分で自然治癒的なプロセスについての記載がないことについて、それが気になった。そこでの記載を一言でいうとこうなる。DIDは精神科の患者の2から5%の患者に見られるという(要出典)。そしてまだ見つかっていなかったり、誤診されているケースの存在を考えると、その実数はもっと多いのであろう。そしてDIDとして同定されるのは圧倒的に10代後半から20代である。50代になって顕在化する解離性障害などは決して多くない。ということはおそらくDIDのかなりの部分は自然経過の中で「消えて」行くのであろう。そしてその典型的な消え方は決して統合ではない。ほとんどの交代人格は「お休み」になるのである。これをDIDの自然経過natural course と考えるところから出発しなければ、治療を論じることにはならないであろう。
 ということでここはこのように付け加える。
「また他方では、DIDのかなりの部分は大きなストレスがない環境で徐々に後退人格の出現がみられなくなり、『自然治癒』に近い経過をたどることも推測される。これには華々しいDIDの症状を見せる症例が10代後半から20代において多いという事実から推察される。」
このくらい書いてもいいだろう。