2014年5月24日土曜日

解離の治療論 (37) 欧米における解離の治療論 (11)

 なんかガイドラインを書き換える作業になっているな。そこでガイドラインの次の部分。
「最も安定した治療の帰結は最終的な融合である。つまりは完全な統合、融合、そして分離の喪失である。しかし継続的なかなりの治療の後も、DIDの患者のかなりの部分が最終的な融合を達成できず、あるいは融合が望ましいとは言えない。慢性的で深刻なストレス、外傷的な記憶などの、人生の中でのきわめて苦痛な出来事を解決できないこと、治療を受けるための十分な経済的な背景を持たないこと、医学的な併存症を持っていること、高年齢化、継続して存在する精神科的な併存症、別人格やDIDそのものに対する顕著な自己愛的な思い入れ、その結果としてより現実な長期的な治療結果を考えるならば、協力的なアレンジメント(アイデンティティたちの間で十分に統合されたりコーディネートされたりしている機能)を考えるべきであろう。しかし最終的な融合に至っていずに協力的なアレンジメントにある人は、後の人生で十分なストレスに出会うと、明白なDIDPTSDに陥りやすいようである。最終的な融合に達した後も、患者が有する残りの解離的な思考や体験方法についての統合の作業がさらに必要となろう。治療者や患者はほかの人格に任されていたような能力を取り入れたり、自分の持つ新たな痛みの閾値を知ったり、バラバラになっていた年齢を、一つの時系列的な年齢にまとめたり、自分の年齢に会ったエクササイズや疲労のレベルを知ったり、ということである。そして統合された見方からトラウマやストレスに満ちた出来事を改めて見直さなくてはならない。」

「ただし交代人格の間の理想的な形での調和は容易には達成できない場合もある。加害者との継続的な接触、家庭内暴力などによる慢性的で深刻なストレス、うつ病などの精神医学的ないしは慢性疾患などの身体的な併存症を持っていること、治療を受けるための十分な経済的な背景を持たないこと、社会的な孤立などはいずれもその達成を妨げる要素と考えられる。」

シンプルすぎるかなあ。