2014年2月2日日曜日

職場におけるいわゆる「新型うつ病」について(5)

現代人の他罰傾向や自己愛傾向
上の4つのうち、特に②に関して。おそらく日本社会で今急速に起きているのは、社会の様々な場面での「モンスター化」であろう。例えば次のようなニュースをネットで拾った。
-重体患者より「先に診ろ」院内暴力が深刻化―(20112201124 読売新聞)
 香川県内の医療機関で、職員が患者から暴力や暴言を受ける被害が深刻化している。先月には県内で、傷害や暴行の疑いで逮捕される患者も相次いだ。 これらの「院内暴力」に対処するため、ここ数年、専門部署を設置したり、警察OBを常駐させたりする病院も増えている。・・・ 県も今年度、暴力の予防に重点を置いたマニュアルづくりに乗り出しており、医療現場での対策強化が進んできている。 ・・・ 県によると、県立の4医療施設では、2~3年前から医師や看護師への暴言が目立ち始め、次第にエスカレートしているという。最近では、被害に悩んで辞職した看護師も出ている。担当者は「理不尽な暴力にじっと耐えている職員も多く、把握できているのは氷山の一角。本当の被害は計り知れない」とため息を漏らす。・・・

つまり新型うつ病の患者さんたちに特徴とされる、自分たちの権利を主張し、周囲を非難するという傾向は、実は日本社会のあらゆるところで起きている。そしてモンスター化社会は、同時に被モンスター化社会でもある。だってモンスターを引き受けるのもまた日本社会だからね。どうして日本人が他罰的になっているのかはわからないが、いくつかの考察を行ったことはある。それがこのブログでしばらく扱ったことのある、「モンスターペアレント」のテーマだったのだ。
 もし新型うつ病というものがあるとすれば、従来のうつ病の表れ方にこの「モンスター化」が重なっているという可能性はある。つまりカスタマーがサービス提供者にクレームをつけるのと同じように、部下が上司にクレームをつける傾向が以前より増しているということはあるのだろうと思う。
さて③についてはどうか。これも最近の新型うつ病の特徴に何らかの形で関係している可能性がある。すくなくともおとなしく寝ているはずの人が、実は横になってスマホに夢中になっているとしたら、傍目には「遊んでいる」ことになってしまうだろう。私は自宅療養中の患者さんたちに対して、「なるべくストレスにならないような生活をしてください。」という。療養中にストレスな活動をやるのはもちろん理屈に合わない。しかし寝ているばかりでも良くない。要するにストレスとならない、あるいはストレスを発散させるような活動ならいいわけだ。そして「ストレスではない活動とはどういうものを指すのですか?」と患者に尋ねられたら、「ご自分で『これはやりたい』と思えるような活動ならストレス発散になりますよ。」と答えるだろう。するとそこにはTDLにあそびにいくことも、海外の友達を尋ねることも、カラオケに行くことも含まれてしまうのだ。現代の世の中には気軽に楽しめるような活動はゴマンとあるのである。そしてそれをしている途中をたままた上司が見つけたとしたら、「とんでもない!」ということにもなるのだろう。