2013年10月9日水曜日

「再固定化」概念の見直し(5)

この再外傷体験という問題についても、実はこれまでの神経回路一本の連結、という機序を想定出来るというのが私の考えだ。説明のために別のケースを取り上げる。米国で聞いたある女性(Aさん、としよう)のケースである。Aさんはある男性に付きまとわれて、危うく性被害に遭うという体験を持った。彼女はそれに傷つきはしたが、さほど深刻な反応は起こさなかった。ところが後になって捕まった同じ男性が、何人かの女性に性的暴行を加えたあげくに殺害していたということがわかり、それが大きく報道された。その報道に接して、自分にトラウマを負わせた男が実は殺人犯であったことを知ったAさんは大きなショックを受け、「一歩間違えれば自分は殺されるところだった」と思ったという。その時からフラッシュバックや感覚鈍麻などを伴ったPTSD症状が始まったのだ。
 ウーン、この例、使えると思ったがどうだろう。私はこの次にこのように言いたかった。この男性にトラウマを負わされた時の記憶群がある。それがある別の表象群と連結したのだ。それは凶悪な人間、殺人者のイメージ。一昨日の「見直し(3)」に出てくる「B県人」、つまり「そこそこいい人たち群」とは真逆の、恐ろしい凶悪で冷酷な人間のイメージ。これでいいのだろうか?なんとなく納得がいかないままに絵をかいてみる。(字数稼ぎではないので、誤解のないよう。一種の気晴らしである。
) ポイントはここでも、一本の神経回路の成立である。