2013年10月2日水曜日

解離とトラウマ記憶、そしてTRP(4)

解離を必ずしも防衛と捉えないこと

米国で臨床をしている時に、時々出会ったのは、解離性健忘に対するかなり偏った考え方を持つ臨床家であった。彼らは患者がある事柄についての健忘を起こしていると知ると、基本的には患者にその記憶内容に触れさせないようにした。たとえば突然職場を出奔して見つかった時に、過去3か月間の記憶がなかったとすれば、そしてその間に上司との口論があったことがわかったなら、患者になるべくその出来事については耳に入れないようにするという「配慮」をするのである。とはいえもちろん全く耳に入れないわけにいかないので、徐々に患者を記憶に慣らしていくわけであるが、その根拠となるのは、「解離性健忘はストレスやトラウマから逃れるための機制だから、その時のことを思い出させることで、再び遁走が起きてしまうかもしれない。」というロジックだった。
以下略