2013年6月16日日曜日

DSM-5とボーダーライン 改訂版(1)

米国で長年多くの識者が検討を重ねてきたDSM-5 20135月に発刊された。このDSMの最新の改訂版は、DSM-IVから19年を経た議論を反映しているだけあり、大幅な変更が随所にみられる。それらは例えば20に及ぶチャプターの並び方が障害どうしの関連性を反映している点、またDSM-III以来の多軸診断を廃止した点などである。またDSM-Vではなく、DSM-5と、アラビア数字による改訂番号の表記も画期的といえよう。ただしDSM-5.2, DSM-5.32 などと頻繁に改定できるため、という説もある。

そのような大きな変化の中で、境界パーソナリティ障害(以下BPD)の診断基準もそのほかのパーソナリティ障害(以下、PD)も今回の改訂で大幅に変わることが予想された。しかし実際に蓋を開けてみると、従来のDSMに見られた10PDとそれらの診断基準が変更を加えられることなく並べられていたことに人々は驚かされることとなった。あれほど精神医学会を騒がせたPDのセクションの大改編の予定はどうなってしまったのであろうか?あの「ハイブリッドモデル」はすっかり立ち消えになってしまったのか、それとも早晩採用される予定なのか?
 それらの点も含めて、今回のDSM-5に向けてのPDの改変の動きを少し振り返ってみることを考える。