2013年6月12日水曜日

精神療法はどこに向かうのか (5)

2.治療における柔構造性ないしメタスキルの重要性が増す
力動的な精神療法の一つの流れとしては、従来伝統的な精神分析における基本原則があまり強調されなくなってきていることがある。これまでは二次的な、次善的な方策として考えられる傾向にあった「指示的療法」は、最近ではむしろ精神療法の中心であるというような主張もなされる。そもそも支持的療法は受け身性や禁欲原則といった精神分析の基本原則を適応できない、ボーダーラインのような病態レベルの低い患者のために考案されたという歴史がある。しかしその適応範囲が一般の神経症レベルの患者にも及ぶようになったのはそもそも精神分析療法や探索的な精神療法が利用者にとっては敷居が高いという現状があったのであろう。探索的な精神療法で目的とされるのが洞察や自己理解の獲得であるならば、支持療法では不安の軽減や自己価値観の高まりが治療目標となるが、実は神経症レベルを含めた患者の多くが、主として後者を求めているということが徐々に明らかになっていている。それに認知行動療法などの、精神分析とは大きく隔たりのある療法に人気が集まっているということもその証左となっている。

結局現代的な精神療法家は、患者のニーズを重んじて、そのアプローチを柔軟に変えることのできる能力が必要であり、逆にいえばどのようなアプローチをするにしてもその根底にあるメンタリティや姿勢が重要になる。そこに柔構造的な視点やめたスキルの重要性が強調される理由がある。

え、これで一回分? 明らかに手抜きである・・・・・