2013年5月7日火曜日

DSM-5とボーダーライン(9) 最終回

今日からまだ仕事である。

ところでここでDSM-5BPDの診断基準を論じる際に、私はAPA(米国精神医学会)が2012年に発表している DSM-IV and DSM-5 Criteria for the Personality Disorders”というものを参照しているが、ひとつ気になるのは、ここには AntisocialAvoidantBorderlineNarcissisticObsessive-CompulsiveSchizotypal6つしか記載されていないということだ。つまりhistorionic(演技性), schizoid(スキゾイド), dependent(依存性), paranoid(妄想性)が消えているのだ!!!まあこれもカテゴリカルな診断に対する反対論の結果として起きてくるわけか。 しかし歴史的にもPDの代表の一つと考えられるスキゾイドが消えてしまうとは・・・・。
 ところでネットですごい論文を見つけたぞ。ガンダーソンらの執筆による、BPD10年にわたる予後調査。2011年だからまだまだ新しい。これについてまとめておしまいにしよう。だいたい一本分になるだろう。(ナンの話だ?)
 Ten-Year Course of Borderline Personality Disorder Gunderson, J et al. Arch Gen Psychiatry 68:827-837.2011 
 なんとネットでタダでダウンロードできるぞ。ネット社会万歳!誕生祝いだ。(ナンのことだ?)
この研究のエッセンスは次のとおりである。175人のBPDの患者を10年間フォローした。第うつ病、その他のPDをコントロール群とした。BPD10年後に85%の患者が寛解したが、それは大うつ病よりも遅かった。またほかのPDに比べても完解はやや遅かった。12%のBPDは再発したが、それも第うつ病や他のPDよりは少なかった。BPDの診断基準の低下の仕方は似たようなものだった。社会機能のスコアは、厳しく、統計的には意味があるが最小限の改善を見せただけであった。第うつ病、他のPDに比べて機能レベルは低いままであった。
ここで二枚の図を掲載する。いずれもこの論文から。図1は寛解率。図2は機能レベルの改善である。


図1 寛解率 (BPDは黄緑色)


図2 機能回復 (BPDはオレンジ色)