2013年3月4日月曜日

パーソナリティ障害を問い直す(21) 


 「解」を読み終えて(4

神経発達障害とは
ところでDSM-Vの「神経発達障害neurodevelopmental disorder」 という新しい分類。これが気にならないということがあってはならない。巷では「新しいDSMでは、ハッタツショウガイがなくなってしまう!」といううわさが聞かれる。私もそれを知って一瞬たじろいだが、実は「発達障害」の代わりに「神経発達障害」というカテゴリーを作るのは、理にかなっているのだ。発達障害には、生まれつき問題があり、それを治療により改善することは難しい、というニュアンスがある。「神経発達障害」(と一応訳しておくが) はどういう意味があるなのか? Wikipedia(英語版)の説明を借りよう。(日本語で「神経発達障害」と入れても、ほとんど何も出てこない!!!!) 神経発達障害とは、「神経発達の障害であり、発育と脳や中枢神経の発達の障害である。より狭義には、情緒や学習能力や記憶に影響を与えるような、そして発達に従って展開していくようなunfolds脳機能の障害であるが、時には自閉症や自閉症すペクトラムの障害としのみ、誤って用いられる。」Unfoldsのニュアンスわかるかな。
そしてその例として自閉症やアスペルガー、胎児アルコール症候群、外傷性の脳障害(脳性麻痺などを含む)脆弱X症候群、ダウン症、言語障害、コミュニケーション障害そのほかを含む。(以下は一応原文。)
A neurodevelopmental disorder, or disorder of neural development, is an impairment of the growth and development of the brain or central nervous system. A narrower use of the term refers to a disorder of brain function that affects emotion, learning ability and memory and that unfolds as the individual grows. The term is sometimes erroneously used as an exclusive synonym for autism and autism spectrum disorders. Disorders considered neurodevelopmental in origin, or that have neurodevelopmental consequences when they occur in infancy and childhood include: Autism and autism spectrum disorders such as Asperger syndrome, Fetal alcohol spectrum disorder Traumatic brain injury, (including congenital injuries such as those that cause cerebral palsy) Communication, speech and language disorders Genetic disorders, such as fragile-X syndrome Down syndrome. Neurodevelopmental disorders are associated with widely varying degrees of mental, emotional, physical, and economic burden to individuals, families and society in general.(Wikipedia)
つまり神経発達障害には、脳に生まれつき、ないしは幼少時からある種の異常があり、それが永続的に障害を与える可能性のある精神障害、というニュアンスがあり、「発達障害」と共通している点は、それが障害自体はもう治らないものという意味が込められているということだ。法律用語で「後遺障害」という言葉がある。交通事故などで障害を負い、それが将来にわたって治癒しない状態を意味するが、神経発達障害もこれと少し似ていて、「もうそれ自体を根本的に治療はできませんよ」、という意味があるのだ。
  AD (アスペルガー障害)などの広汎性発達障害は脳の異常という理解が専門家の間ではおおむね得られているわけであり、これが神経発達障害に組み込まれることについては、特に異論が生じる余地はないであろう。問題はむしろBPDにそのような脳の異常という可能性がないかということだ。BPDも一種の脳の障害である、ということになると、これも広い意味での神経発達障害に入ることになり、BPDADの関係は一挙に近づいてしまう。