2013年2月12日火曜日

パーソナリティ障害を問い直す(1)


ここ両日マスコミをにぎわしているニュース。例のパソコンの遠隔操作事件の容疑者の逮捕に日本中が沸いている。以下にNHKNews Web (210版) を引用する。

「遠隔操作事件 都内の30歳男を逮捕」

パソコンの遠隔操作事件で、警視庁などの合同捜査本部は、都内に住む30歳の男が去年8月、インターネットの掲示板に漫画のイベントでの殺人を予告する書き込みをしたとして威力業務妨害の疑いで逮捕しました。男は「事実ではありません」と容疑を否認しているということです。逮捕されたのは、東京・江東区に住むインターネット関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)です。一連の事件では、ウイルスに感染したパソコンなどが遠隔操作されて無差別殺人などの犯行予告が書き込まれ、合わせて4人の男性が誤認逮捕されました。その後、真犯人とみられる人物から報道機関などに犯行声明のメールが送りつけられ、先月5日には神奈川県の江の島の猫の首輪から遠隔操作ウイルスのプログラムが入った記憶媒体のマイクロSDカードが見つかりました。
警視庁などが、猫がいた場所の近くにある防犯カメラの映像を調べたところ、猫に近づく不審な男の姿がとらえられていて、ほかのカメラに映っていたバイクの映像などから片山容疑者とみられることが分かったということです。さらに、マイクロSDカードに入っていた遠隔操作ウイルスのプログラムが、去年8月、漫画のイベントに対する殺人予告の書き込みで使われた遠隔操作ウイルスのプログラムと一致したということです。警視庁は、片山容疑者がこのイベントへの殺人予告を書き込んだ疑いが強まったとして、10日朝、自宅にいたところを威力業務妨害の疑いで逮捕しました。調べに対して、片山容疑者は「まったく事実ではありません」と容疑を否認しているということです。警視庁などによりますと、片山容疑者は以前、インターネットを使った脅迫事件などで逮捕され、実刑判決を受けています。江の島で見つかったマイクロSDカードのファイルには「以前、事件に巻き込まれたせいで、無実にも関わらず人生の大幅な軌道修正をさせられた」と警察や検察への恨みととれる内容が書き込まれていました。警視庁などは、片山容疑者が一連の事件に関わったとみて、詳しい経緯や動機などの解明を進めることにしています。
そしてこの容疑者のプロフィールが明らかになるにつれて浮かび上がってくるイメージが「またか・・・」という印象を私に与える。最近話題になることの多いあの人たち、いわゆる発達障害を疑わせるような人々のことである。特徴的な被害者意識、不特定多数の人々に対する敵意。その被害者意識がネットの世界での他者とのやり取りを介して生まれ、それを実際の他者に対して突発的に向けられた傾向は、さらにある特定の人物のことを思い起こさせる。それが例の秋葉原事件の犯人KMである。2008年、秋葉原で17人もの罪のない人々を殺傷したおぞましい事件。実は彼が手記を発表しており、それを通して彼の心の内面の一部をうかがい知ることが出来るのであるが、その人物像が、ここ一両日話題になっている容疑者と多くの点で一致するのである。たまたまこの手記(Psycho Critique 17[解]JPCA, 2012年)を読み進める必要が生じているので、少し考察をしてみたい。