2012年7月11日水曜日

続・脳科学と心の臨床(18-1)

(18)の補足 オキシトシン VS 男性ホルモンか?



★ 2011年9月13日のニュースだから少し経っているが、興味深いニュースを見つけた。(http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-23165820110913


「[シカゴ 12日 ロイター] 男性は父親になると男性ホルモンが低下し、生物学的に子育てに適応するようになることが、米ノースウエスタン大学が米国科学アカデミー紀要に発表した研究結果で明らかとなった。同大学の研究チームは、フィリピン出身の男性600人以上を対象に5年にわたり調査。調査当初に父親の人はいなかったが、その後に父親になると、少なくとも短期的には男性ホルモンであるテストステロンの減少がみられたという。研究を行ったリー・ゲトラー氏は、テストステロンの数値が高かった男性ほど父親になる確率が高かったが、いったん父親になると、その数値は大幅に減少したと指摘。「父親になり、新生児を迎えることは、多くの精神的・身体的な調整を必要とする。われわれの研究は、男性が生物学的に、そういった必要性に対応しようと実質的に変化しうることを証明した」と語った。シェフィールド大学のアラン・パーシー博士は、通常テストステロンの量はあまり変化しないとし、「年齢の経過などとともに徐々に減少することはあるが、家庭生活に応じて劇的に変化するとは興味深い」と語った。」


長い引用になったが、いくつかの示唆がここにある。以下が私自身の仮説。一つはテストステロンの低下が攻撃性の低下につながり(これ自体は実証済み)、それが子育てに有利に働くという可能性。もう一つはテストステロン=男性性が、男性から優しさや母性性を低下させる働きがあり、いわばオキシトシンと反対の役割を果たすことになり、その低下が結局はオキシトシンの上昇と似たような効果を与えているのではないかということである。それにしても実に人間の体は上手く作られているものである。