2012年2月5日日曜日

心得21.治療者は自己開示を「適正価格」で行う

 山口市では、帰りの便までの時間に、河野先生に五重の塔に案内していただいた。室町時代にできた瑠璃光寺(るりこうじ)という塔である。小さな池の向こうに見せるたたずまいは絶景であった。山口は西の京といわれるそうだが、その意味がわかった気がした。仕事のほうもまあまあ。ただ・・・・ホテルの部屋がとても寒く、ダウンジャケットを着てその上に布団をかぶってねた(こんなことは初めてだ。でも面白かった。)企画を主催なさっているのはみな素敵な方々であった。河野先生、渡辺先生、原先生そのほかの方々に感謝。
治療者の自己開示ほど「適正価格」が求められるものはないであろう。通常の対人関係を考えてみる。求められてもいないのに自分のことについての話をする人は、見ていてはしたないし苛立たしい。自己開示の押し売りは控えなくてはならないのだ。しかし売り惜しみもよろしくない。すなわち正当な形で求められている自分についての情報を伝えないというのも問題なのだ。だから自己開示には「適正価格」が要求されるのである。これは通常の対人関係についていえることであるが、精神療法における関係性についても同様である。すなわち治療者は自分についての情報は必要に応じて患者に伝える(患者から控える)ということである。したがって分析的な治療者の「匿名性の原則」はあくまでも相対的なものである・・・・
      (以下略)