2012年1月26日木曜日

心得28.外傷モデルを常に頭のどこかにおくべし

先日の対象関係論勉強会での症例発表を思い出す。私は人前で何かをプレゼンテーションすることを楽しいと思うことはほとんどないが、その日は楽しかったのである。いや発表自体が楽しいというわけではなかったが、司会の北山先生とのおしゃべりが面白かったのだ。北山先生の精神分析観に非常に居心地の良さを覚えたことも大きかったかもしれない。その日に生まれた表現。アツい精神分析と、生ぬるい精神分析。この温度差をめぐる議論が面白いのだ。

療法家が自分の行っている治療について考える際、しばしば頭をよぎるのが「自分はきちんと治療を行っているのだろうか?」という疑問である。精神分析的なオリエンテーションを持っている人の場合は、自分がきちんと直面化や解釈を行わずに漫然と治療を続けているのではないかという疑問を抱くことが実に多い。また実際にケースをスーパービジョンに出したり、ケース検討会で発表した際にそのようなコメントをもらうことも少なくない。

       (以下略)