2011年2月27日日曜日

治療論 23 患者の人生に口出しをしない

2月25日(金曜日)の夜、NHKスペシャル「メガヒットの秘密~20年目のB’z~」(2008年に放送したもののアンコール)を見た。そのなかでグラミー賞受賞の松本孝弘の語ったことが印象的だった。彼は稲葉浩志とコンビを組んでいて、相手が出した企画で、「それってアリかよ!」と思うことが度々あったという。ヒットするわけないじゃん。ところがそれがヒットしたりするというのだ。そこで彼が学んだのは相手の出したものには口出しをしないということだったという。これってすごく大事なことだ。これだけ長くコンビが続くのも、実はこのお互いにあまり干渉をしないということだ。あえて言えば、夫婦が長くやっていけるのと似ている。私がよく言う「他人は不可解なり」ということだ。不可解さも理解したうえでそれを受け入れるということが共存共栄のためのひとつの知恵なのだ。お互いに理解しえないことを理解する、ということだ。そこで治療論に飛ぶ。

「治療論 23 患者の人生に口出しをしない」 これって、でもあまり説明の必要もないだろう。ただし読者は「治療者が患者の人生何もいわないなんて、いったいどこが治療なんだよ」と思われるかもしれない。第一患者が治療者に、自分の人生に口出しをして欲しい(つまりアドバイスを欲しい、指導して欲しい)という場合もあるだろう。そりゃそうだ。その場合は、「あなたねえ、治療者に自分の人生に口出ししてもらおうと思わないことですよ」などと「口出し」はしない。黙って「口出し」をするまでである。でもそれは請われて行う「口出し」であり、ある意味では本当の口出しではない。
患者の人生に口出しをしない最大の理由は何か?治療論 6(2010年11月6日)の、「患者の人生の流れは変えることができない」はこの際当てはまらない。第一に「治療者は患者の人生のことなど知らないし、わからない、アドバイスなど出来ない」というわけだ。