解離性障害とレジリエンスというテーマを考えている。(しかしそれにしても正月の二日からなにも・・・・・。) レジリエンスとは最近しばしば議論される概念であり、もとの意味は「撥ね返ってもとの状態に戻ることができる」という意味を持つ。つまりストレスや外傷にあっても、それをはねのけて健康度を維持する能力である。人が持つ病理、ではなく、健康さ、という視点にたった概念と言えるだろう。
このテーマが重要なのは、人は解離という心の働きをかなり頻繁に、それこそ正常範囲で用いている可能性があるからだ。すると解離という機制は、用いることがレジリエンスの高さを表している可能性もある。しかし解離はまたそれが幼少時に用いられすぎることで後に様々な問題を残すことも臨床家は知っている。常識的に言えることは、解離はストレスや外傷をその当座はやり過ごすという意味では非常に適応的だということだ。それはさらに大きな精神的破綻を防ぐという意味では、一応適応的であり、その意味ではレジリエンスの表れだ。
例えば交通事故にあい、深刻な外傷を負ったときに、幽体離脱をおこしてそのシーンを上から眺める状態になり、直接的な苦痛を体験しないということは、本人にとって適応的と言えるかも知れない。
しかし解離が実はレジリエンスの低下や欠如と関係していることを示す根拠も又ある。それは多くの解離性障害の患者さん達は、欝や身体病と共に悪化し、解離をコントロールすることが難しくなるのが一般的だからである。人の心を脆弱するためにも、強くするためにも顔をのぞかせる解離性障害いう現象。その働きの全貌にはいまだまだ迫ることが出来ない。