2011年1月25日火曜日

解離に関する断章 その13  また挿絵を描いてみた(ヒルガードの実験)

ヒルガードの「隠れた観察者」についての話だ。日本語には訳されていないようだから、あまり知られていない。
私たちの中には、本来もう一つの観察している部分があり、それは多重人格の症状をきたしているか否かに関係ないという見方がある。ヒルガードは、その古典的な「隠れた観察者」の実験を通して、これが通常の人にも存在するという可能性を示した。(Hilgard, E. R. (1994). Neodissociation theory. In S. J. Lynn & J. Rhue (Eds.), Dissociation: Clinical and theoretical perspectives (pp. 32–51). New York: Guilford Press.) この実験はすばらしい。

被験者に催眠下で暗示を与える。「これから大きな音をたてますが、私があなたの右肩に触れるまでは、あなたには何も聞こえません」次に大きな音をたてて被験者が無反応であることを確かめる。 さらに被験者に「催眠中でも観察しているあなたがいて、声が聞こえています。この私の声が聞こえていれば、右人差し指を上げてください。」と指示する。(実際に指が持ち上がる)被験者が突然「大変です。私の指が誰かにより動かされました。なにか変なことが起きているようです。音が聞こえるように戻してください。」検者が被験者の右肩に触れ、催眠が解ける。
ちなみに私はこのHilgard の実験について始めて読んだ際、解離や人格の分離という現象の奥深さを非常に深く印象付けられたのを記憶している。