2010年6月27日日曜日

Win-win の原則 -快楽原則的な人間関係の基礎

私は3年余り前から、「教師」となったわけだが、これも結構悪く無いと思うようになってきている。それまだはもっぱら「主治医」だった。主治医としてあることには慣れているが、「教師」には時間が少しかかった。しかしわかったことは、患者さんも学生も同じだ、ということである。これはもちろん聞き捨てならないかも知れない。もちろん学生さん達が精神科的な問題を抱えているというわけではない。そうではなく、同じような心構えで対面すればいい、ということである。それは一言で言えば「お客様」だということである。いや・・・・・・、少し違うか?彼らがあって私がある、という関係というべきか。彼らがこなければ(治療に来る、教室に授業を受けに来る、という意味で)、あるいは彼らが満足しなければ私もつまらないしやりがいがない。仕事が苦痛になるだろう。ということは彼らと私がwin-win (相手も特をし、自分も得をするという意味の英語的表現)になる状況を探すことになる。逆に言えば、それを考えてさえいれば、あまり仕事上で迷うことはない。
このwin-win の原則は、しかし案外忘れられがちなのである。それは自分が遣っていることが当たり前である、と思い込むことであろう。患者が来て当たり前。授業には生徒が出て当たり前。でも向こうが受診や受講をして直接win するものがなく、ただ単位をとるため、薬をもらうため、ということになるとお互いに不幸になるだけだろう。
このwin-win の原則は意外に便利だ。少なくとも人間関係でどうもしっくりこない時、実は自分の思っているwin-win と相手のそれが食い違っている場合、ないしは自分のwin が相手のwinよりいつの間にか大きくなりすぎて、事実上 win-lose の関係になっている場合である。その理由を一つ一つ検討すればいいわけである。つまりは人間関係がうまく行かないとしても、「私が悪い」からではなく、win-win 状況の把握が間違っている、計算違いをしている、ということになる。自分を過剰に責めなくてもいい、ということだ。(続く)