2010年6月25日金曜日

初めての試み

昨日は私の勤務先の大学院のゼミで、このブログのことが話題になった。彼らは自分たちのことをかかれることにまんざらでもなさそうである.しかしそれだけにブログで彼らのことを話題にすることには非常に微妙な問題が生じるということを感じた。実際にしたことはまだないが、何事も実験精神は必要である。ちなみに身元の割れている人間がブログで書く内容は、非常に限られている。私が以前のバージョンで、一月に一度も更新しなかったのは、この問題があったからだ。これはもう少し広くは、症例の公表の問題ともかかわってくる。私は米国にいるときは、それこそどのような患者さんのことも抵抗なく書くことができた。絶対に彼らがそれを読まないし、読者が読んでも誰のことかわからない。臨床場面が地球半回転分離れ、言語も違うとなれば、プライバシーの問題は事実上なかったのだ。
しかし日本に帰って事情は一変した。私を知っている人がそれを読むとなると、そしてその人たちのことを私が書くという可能性が高い以上、私が好き勝手に書くことは、それを読んだ人に、裏切られたり、深く傷つけられたり感じさせる可能性がでてくる。結局誰が読んでもその人が傷つかないような内容にしなければならないが、そうなるとちょうど手足を縛られた状態になり、話題は非常に限られる。せいぜいカミさんのことか(コンピューターは毎日見ていても、私の書くのもには関心がないから読まない)、うちのチビ(犬だから、マウスがクリックできない)、あるいは田舎の両親についてか(そもそもPCを持っていない)である。
そもそもプライバシーの保持とはどういう事か?私が「●●君は、●●である。」と書いたとき、ああ、あれはAさんのことだな、と不特定多数の人がわかるのでは困る。しかしAさん自身にのみそのことがわかるのはどうか?Aさんにしてみれば、前者は困るが、後者についてはいいというかも知れない。少なくともプライバシーの問題は、後者のほうがはるかに害はないことになるだろう。そして私が書くAさんの大部分について、私は守秘義務がないのである!!