2010年5月27日木曜日

(承前)
あるいはその人の精神の安定性という問題とも関係しているといえるだろう。あなたが気分の起伏が激しくて、それを自分でもコントロールできない人なら、株価の下落を知って大騒ぎするかもしれない。散々悪態をついて、あるいは愚痴をこぼしてようやく気持ちを落ち着けることになるだろう。しかしあなたがある程度肝が据わっているならば、しっかり株価の下落の可能性を覚悟していて、それを実際に確認したからといって、やたらと失望したりはしないであろう。そしてそれは、このPESの性能、ないしは効率とも関係しているだろう。株価が落ちていることが何らかの形で想像がつくにもかかわらず、それを受け入れることができないとすれば、すなわちPESによって実際の失望を十分に先取りできていないのであれば、あなたは心の準備をすることができずに、現実に突き当たって大騒ぎをすることになるのだ。そしてこのように考えると人間的な成熟、というテーマとこのPESとの関係というテーマもうっすら見えてくるかもしれない。

PESの「性能」と人間的な成熟?さとり?

認知療法の創始者アーロンベックについての逸話を聞いたことがある。ある日地方に講演に行く際に、お弟子さんと空港までタクシーで向かっていたという。その日は道が混雑して、到底飛行機に間に合うように空港に着けないという事態になった。その時お弟子さんは、ベック先生が少しも動揺を見せず、泰然自若としていることに驚いたという。お弟子さんの方は、彼らが時間とおりにつけないことで起きるさまざまな問題を考えると、気が気ではなかったのだが、自分の師匠の肝の据わった態度を見て感銘を受け、さすが認知療法の創始者だ、と思ったというような話だ。(実はある講演のテープを聴いたときに語られたエピソード。詳細は違っているかも。)
私はこの話を聞いて、「それはおかしいな」と思ったのを記憶している。今でもそう思っている。そしてこれは、昨日書いた話、すなわち株価の下落、ないしは上昇を見たときのあなたの反応、ということと関係している。(続く)