2025年10月31日金曜日

ヒステリーの歴史 改めて推敲 1

 ほかの執筆に押されてずいぶん先延ばしになっていた論文を推敲しなおす。

 本章は精神医学的な見地からのヒステリー(変換症、FND)の歴史について、すなわち本書の他の執筆者とは異なる立場から論じるが、それに先立って、本章で用いる三つの用語について述べたい。というのも本症に関しては精神医学においてはこれまでにめまぐるしい名称変更が行われたからである。

● ヒステリー ・・・・・ DSM-Ⅲ(1980)以前の時代における変換症、FNSに相当する概念
● 変換症   ・・・・・ DSM-Ⅲ以降DSM-5(2013)までの時代におけるFNSに相当する概念。
● FNS (機能性神経学的症状症)・・・・・ DSM-5以降の概念で、変換症、解離性神経学的症状症(ICD-11)と同等のものとする。
 ちなみに変換症 conversion disorder は従来転換性障害と訳されてきたが、同音の「癲癇」との混同を避けるためにDSM‐5の日本語版策定以降このような措置が取られたのである。