2025年8月25日月曜日

精神分析と分析的精神療法のはざまで 3

 さてこの①,②の問題は精神分析とそれ以外の治療との移行が生じる場合に大きな問題となることは言うまでもないことでしょう。なぜなら「それ以外の治療」はかなり精神分析とは異質で、より「常識的」だからです。①については多くの場合治療者はセッションの頻度も常識的でクライエントに積極的に質問を投げかけるでしょうし、クライエントからの質問にも答えることが多いでしょう。また②についても、クライエントはより常識的な治療動機、つまり苦しみや悩みの解決を求めるでしょう。この方法論や目的が異なる精神分析とどう折り合いをつけるかは当然ながら大問題になるはずです。しかしこの問題が常に起きるのは、「精神分析がより本質的であり、より重要である」という大前提が依然として存在するからです。3人の先生方はそれぞれのやり方ないしは工夫によりこの問題に対処なさっています。そこで先生方にご質問やコメントをする前に、私自身がどのように対処をしているかをお話しします。

(1)治療者としての態度を精神分析か精神療法かにより特に区別しないこと。

(以下略)

(2)心の問題をトラウマの文脈から考えること。

(以下略)